『江戸絵画の真髄展』に行く

 先日、金沢21世紀美術館で開催された『江戸絵画の真髄展』に行ってきました。この展覧会は、東京富士美術館に所蔵されている江戸時代の絵画を中心に展示したもので、絵画に疎い私でも一度は聞いたことのある有名画家の作品が多く揃っており、ものは試しと足を運んだわけです。

 お昼過ぎに金沢21世紀美術館に到着し、早速中に入ると、土曜日という事もあり人の量はそこそこと言ったところ。入場料を払い展示スペースに入って、すぐに目に飛び込んできたのが、なんとあの有名な『洛中洛外図屏風』でした。『洛中洛外図屏風』とは、江戸時代の京都の街並みや人の様子を細かに描いた屏風絵で、絵画としての価値はもちろん当時の風俗を知る上でも大変貴重な美術品です。学生時代、歴史の教科書で何度も見たあの『洛中洛外図屏風』が今目の前にある!私は興奮して、食い入るように屏風の細部を見ていきます。まず驚いたのが色の鮮やかさで、描かれた時期が江戸前期とするとすでに400年近く経っているはずなのに、たなびく雲の金色や松の木の緑色、寺院の柱の赤色などが、ついこの間描いたかのように鮮やかでみずみずしいのです。また描写が細やかなのも感心しました。建物の内装や外装、部屋の中の調度品、道を歩く人の表情なども一切手を抜かずしっかり描かれており、時間をかけて眺めても飽きることがありませんでした。

 何枚か屏風絵を見た後、次のゾーンに足を運ぶと、そこには様々な掛け軸が展示されていました。中でも目を引いたのが、伊藤若冲と丸山応挙の掛け軸で、まずは有名な伊藤若冲の『象図』ですが、これは掛け軸に墨一色で描かれた象の正面図で、単純な線で構成された象は、まるで4コマ漫画を思わせるような大胆な抽象化がされています。しかしその線に弱々しさや迷いのようなものは一切感じられず、見る者をはっとさせる迫力があります。同じような特徴が『鶏図』にも見られ、私は今の日本で漫画文化が花開いた土壌が、この時代から脈々と続いていることを強く感じました。続いて丸山応挙の『狗子之図』ですが、これは若冲とは違い、あくまで写実的で、薄墨に彩色でもって描かれた二匹の子犬が、今にも動き出しそうに生き生きとしています。また『海棠金鶏図』は、色鮮やかな金鶏(東南アジア原産のキジの仲間)が羽の一本一本まで丹念に細筆で描かれ、いかにも応挙らしい写実性が感じられました。TVの某お宝鑑定番組では、よく出品される若冲と応挙ですが、残念ながらその99%が偽物で、本物を間近で見る機会を得られたことにとても感動しました。絵に関してはずぶの素人の私ですが、それでも「やはり本物は違う。」と実感させてくれる素晴らしい絵でした。

 一通り展示物を見た後、名残惜しくてもう一度館内をぐるりと見て回り、目に作品を焼き付けました。そして出口付近のおみやげコーナーで、『しおり』を買いました。絵柄はお気に入りの若冲の『象図』、『鶏図』と応挙の『狗子之図』、『海棠金鶏図』で、4枚組セットのものがあったので、これ幸いとばかりに買いました。

 

今回の展示会は、とても良い目の保養となりました。やはり美術館はいいですね。

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コメント: 1
  • #1

    絵画に疎い私 (土曜日, 23 12月 2017 18:40)

    私も行きましたヨ!
    時間の都合で、10分くらいしか見れませんでした。
    (事前に割引券を購入していたので、得した気分でした)

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