角川映画『犬神家の一族』

 私の大好きな映画の一つに、市川崑監督『犬神家の一族』があります。

 『犬神家の一族』とは、1976年に公開された角川春樹事務所製作の映画で、横溝正史原作の長編推理小説を映画化した角川映画の記念すべき第一作目です。皆さんの中にも『水面からにゅっと突き出た2本の足』や『不気味な白いマスク姿』など、インパクトのあるシーンを覚えてらっしゃる方も多いのではないでしょうか。この映画は公開されるや否や、印象的な場面や豪華なキャストが評判を呼び、ファンと批評家の熱烈な支持を受けました。最終的に配給収入は15億6000万円を記録し大ヒットとなり、その後80年代中期まで続く角川映画ブームの礎となりました。また、角川は映画公開に先駆けて横溝正史原作本の文庫シリーズも発刊し、これも大ヒットします。今でいう『メディアミックス戦略』の先駆けとも言えるもので、角川春樹氏は時代の寵児となっていきます。

 私が初めてこの作品を観たのは、リアルタイムではなく、テレビでの再放送でした。まだ子供だったので、内容もほとんど理解できていなかったと思うのですが、先に挙げたシーンの他に『佐清(すけきよ)がマスクをめくって醜い素顔をさらすシーン』、『菊人形から首がぽろっと落ちるシーン』など、子供心に強烈なインパクトを与えられました。怖い怖いと思いながらも、もう一度観たくて、親に頼んでレンタルビデオでまたこの作品を借りてもらい、何度も観ました。そして映像だけでは飽き足らず、角川文庫で横溝正史の原作を買って読み、最終的にはシリーズ全巻読破しました。今思えば、当時の私は角川の『メディアミックス戦略』に見事にドハマりしたわけですが、この作品が自分に与えた影響は計り知れないので、今ではその出会いに感謝したいくらいです。

 『犬神家の一族』の魅力はたくさんあるのですが、やはり外せないのがキャストの魅力です。金田一耕助を演じる石坂浩二のひょうひょうとした演技に、ヒロイン野々宮珠世役の島田陽子の凛とした美しさ。脇を固める俳優陣も豪華で、あおい輝彦、高峰三枝子、草笛光子、地井武男、加藤武、大滝秀治、三木のり平、岸田今日子、三國連太郎などなど、当時でも信じられないくらいの超がつく豪華キャストです。個人的にはホテルの女中役の坂口良子がもう可愛すぎてたまりません。そして最近話題の娘さんのお騒がせぶりを見るにつけ、彼女は天国で何を思うのか感慨深くなってしまいます。またホテルの主人役で原作者の横溝正史がゲスト出演しているのも、原作ファンとしてはうれしいところです。

 この作品は、現在DVD、ブルーレイともに発売されており、またレンタルでも簡単に観ることもできます。時代を創った名作ですので、興味のある方は是非。

 最後に、前回に出題したクイズの答えを書きます。答えは『A君は子供だった。』です。つまりA君はまだ子供なので、エレベーターに乗っても1階のボタンは押せても、10階のボタンには手が届かないのです。そのため10階へ上る際は、一緒にエレベーターに乗る大人がいないか探して、いなければ仕方なく階段を使うしかないのです。

 

 みなさん、正解しましたか?それではまた。

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