頭の体操

 みなさん、まずはこのクイズを解いてみてください。

 『葡萄酒瓶(ぶどうしゅびん)がある。コルク栓がしてあるのだが、あいにく、栓抜きがない。瓶を割らず、コルクにも穴を空けないで、中の葡萄酒を飲むには、どうしたらよいか。』

 このクイズは、1966年に光文社カッパノベルズで刊行された『頭の体操』という本に載せられている例題です。『頭の体操』とは、千葉大学で名誉教授をされていた故・多湖輝氏の著書で、シリーズ累計発行部数1200万部以上、日本中にパズルブームを巻き起こし、またテレビ番組『マジカル頭脳パワー』や『IQサプリ』、ゲームでは『レイトン教授シリーズ』などの原型となり、後世に多大な影響を及ぼした名著でもあります。

 私がこの『頭の体操』と出会ったのは、小学生の頃。父の書棚でその本を見つけ、こっそり読んでみると、あまりの面白さにびっくり。子供ながらに、心理の盲点を突いたクイズやパズルの数々に興奮したのを今でも覚えています。結局は、自分のおこずかいの大半をはたいて、全シリーズを買い揃えることになるのですが、今思えば、「不可解な謎が論理的に解明されるカタルシス」を感じたのはこれが原体験で、後の自分の推理小説好きを決定づけた出会いと言えるでしょう。

 ところで最初のクイズの答えは分かりましたでしょうか?答えは『コルクの栓を瓶の中へ押し込んでしまう。』です。「コルク栓は抜くもの」と固定観念が働くと、なかなか答えが出てこないのではないでしょうか。

 このように、『頭の体操』は日ごろから常識にとらわれ固くなりがちな頭を、くにゃくにゃに柔らかくすることを目的としており、読み終えた頃には、以前より頭の回転が速くなり、物事を予断なくいろんな角度から考えられるようになっているはずです。少なくとも私の場合は、「口げんかが強くなった。」という効果はありました。しかし結果として、家族や知人から「屁理屈だけは一人前。」と煙たがられているので、はたしてそれが良いのか悪いのか・・・。

 現在では光文社『知恵の森文庫』よりリニューアル刊行されており、比較的手に入りやすいと思います。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。40年以上昔の本だとは思えないくらい、今読んでも新鮮な驚きがありますよ。

 それでは、最後に『頭の体操』よりもう一問。

『自動式エレベーターつきの十階建てマンションがある。十階の住人のA君は、しばしば一人で外出するが、ふしぎなことに、下りはかならずエレベーターを使うくせに、上りはほとんど使わない。いつも決まって、一階のエレベーター付近であたりを見回し、人気(ひとけ)がないのを見定めると、一人で階段を上っていくのである。A君の奇行の意味は、何なのであろうか。』

 

 みなさん分かりましたか?答えはまたの機会に・・・。

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