『奇跡を解く男』ジョン・ディクスン・カー②

 

④白い僧院の殺人

 

 凍った湖の中央にある離れ『白い僧院』で、女優が殺されていた。しかし湖面の雪には第一発見者の足跡しか残っていなかった。犯人はどのようにして足跡を残さず、離れから姿を消したのか――。足跡をテーマにした、密室の変形と言える『雪密室もの』の名作。このジャンルには多くの作家が挑戦していますが、本作はその中でも最高峰の出来と言えるでしょう。本作で使われたトリックは、江戸川乱歩が「カーの生み出したトリックの中でも最高傑作」と絶賛しています。

 

⑤ユダの窓

 

 『法廷もの』の傑作。ある男が結婚の許しをもらいに、婚約者の父親の屋敷を訪れた。しかし書斎に通されるや男は薬で昏倒させられ、気付くと密室となった書斎には自分と刺殺された父親が残されていた。絶体絶命の状況に置かれた被告を救うべく、裁判の席で大暴れするメリヴェール卿に勝ち目はあるのか――。全編を通したスリリングな筆運びとアッと驚くどんでん返しは、後の法廷ミステリーに多大な影響を与えました。

 

⑥火刑法廷

 

 自分の妻は、大昔に火刑に処された毒殺魔の生まれ変わりなのでは?ひょんなことからある男に芽生えた疑惑を発端に、友人の亡父に毒殺疑惑が持ち上がりそれを検証すべく男は友人と墓を暴くことに。すると墓から亡父の遺体は忽然と消えていた。犯人はやはり妻なのか、そして妻は時空を超えた毒殺魔なのか――。本作はミステリーとホラーを見事に融合させた傑作で、後の作家に与えた影響やミステリーの枠を広げた功績も非常に大きい記念碑的な作品でもあります。

 

⑦皇帝のかぎ煙草入れ

 

 中期の名作。深夜、結婚を控えたある女の部屋に、女の元夫が忍び込んで復縁を迫ってきた。もみ合う二人がふと窓の外を見ると、通りを挟んだ向かい側にある婚約者の屋敷の様子が目に飛び込んできた。その光景は婚約者の父親が撲殺された無残な姿と、砕かれたかぎ煙草入れだった――。心理トリックを巧妙に使った本作は、ミステリーの女王アガサ・クリスティも「さしもの私もこのトリックには脱帽する」と絶賛しています。

 

 以上7作品を、簡単ではありますが紹介しました。

 

カーの作品は翻訳が古く読みにくかったり、すでに絶版になって古本でもプレミアがつくほど入手困難なものもあります。しかし今回挙げたすべての作品は、現在でもハヤカワミステリ文庫や創元推理文庫で新訳を楽しむことができます。

 

それらを堪能し終わったら、次はカーのもう一つの隠れた魅力、『珍作』『凡作』『バカトリック』の作品群を読むのもいいでしょう。これが同じ作者の作品なのかと、脱力すること請け合いです。ホントにくだらなすぎて笑っちゃいますよ。

 

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