ハエトリソウの魅力

 私は食虫植物が大好きです。食虫植物とは、植物のくせに虫を食べるという食物連鎖を無視したある意味厚かましい植物の総称です。その中でも特に好きなのがハエトリソウです。春先から初夏にかけて、ホームセンターなどで見かたことがある人も多いかと思いますが、ギザギザの二枚貝のような葉っぱがついており、虫が来るとバクンと閉じて食べてしまう、あのハエトリソウです。私は昔からこの植物の、植物らしからぬスピーディーな動きと虫を食べることに特化した葉っぱの機能美に魅せられて、学生時代から何度も栽培に挑戦してきました。初めて栽培した当時は今ほど情報が発達してなかったため、ほとんど手探り状態で何度も失敗を繰り返していました。しかしインターネットを利用して情報を集め始めてから栽培のコツがだんだん分かってきて、最終的には越冬して株数を2倍に増やせるくらいにまで上達しました。

 今から参考までに、ハエトリソウ栽培のコツをご紹介します。

①肥料はやらない

 通常の植物では考えられませんが、こと食虫植物に関してはこれが常識です。もともと食虫植物は養分の少ない土地に自生しており、だからこそ虫を取ることで養分を補うように進化をしたわけです。肥料を撒いたり腐葉土で育てると、すぐに栄養過多で枯れてしまうので気をつけましょう。

②日光によく当てる

 ハエトリソウは根から養分を吸うようには進化しませんでした。そのため、栄養を光合成に頼る割合が他の植物より大きいのです。特に春先や秋口などは、たっぷり日光にあてて成長を促しましょう。ただし真夏の直射日光だけは、葉焼けするので避けた方がいいようです。

③常に湿った培養土

 ハエトリソウが自生しているのは北米の湿地帯で、当然栽培する際にはその環境を再現する必要があります。そこで培養土としてよく使われるのが水ゴケです。水ゴケは保水性が高く、適度な水はけもあり、植木鉢の受け皿に水を張る『腰水栽培』を行うことで湿地の環境に近づけられます。ただし植木鉢内の水を新鮮なものに入れ替えるためにも、毎日の水やりは欠かさないようにしましょう。

④温室は要らない

 食虫植物というと、どこか熱帯雨林の植物のようなイメージがありますが、ハエトリソウの自生地は日本の緯度とさほど変わらない北米なので、一年を通して屋外で栽培できます。ただし寒冷地や豪雪地などは、植木鉢が凍ったり雪をかぶったりしないように屋内に入れておくのが無難です。

以上が栽培の簡単なコツです。ハエトリソウは観葉植物としても非常に魅力的なので、興味のある方はぜひ栽培してみてください。

 

K.K

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