推理小説考~海外編~

 前回、推理小説について自分の思うところを少し書きましたが、今回は自分の好きな海外の推理作家、それも古典的名作を数多く残した有名な作家について書こうと思います。

◎アガサ・クリスティー

 言わずと知れたイギリスを代表するミステリーの女王。1920年代からの本格ミステリー黄金期を支えた一人で、その作品は舞台化や映画化されたものも多く、今でも世界中に多くのファンがいます。

 彼女の魅力は、女性ならではの観察眼から生まれる巧みな描写力とストーリーテリングの技量、そしてあっと驚くトリックの切れ味です。彼女の生み出したトリックの数々は極めて独創的で時に挑戦的であったため、しばしばフェアかアンフェアか評論家の間で議論が持ち上がるほどでした。そしてこれらの議論は結果的に推理小説の枠を広げることとなり、のちの作家に多大な影響を与えました。

 また彼女の特徴として、非常に多くの作品を生み出したにもかかわらず駄作、凡作が非常に少ないという点も挙げられます。それがまた、彼女が今なおミステリーの女王として君臨し続けている理由の一つです。

◎エラリー・クイーン

アメリカを代表するミステリー黄金期を支えた作家です。この作家は実はいとこ同士の二人組で、“エラリー・クイーン”とは二人の共同ペンネームです。

 彼らは『犯人当て推理小説』いわゆる『フーダニット(誰が犯罪を犯したか)』にこだわった作家です。その作品を読むと、緻密な論理とフェアプレーの精神が作品の隅々まで行き届いており、まるでよくできたジグソーパズルを鑑賞しているような気持になります。

◎ジョン・ディクスン・カー

 個人的には、ミステリー黄金期の作家の中では一番好きな人です。『密室の王様』、『不可能犯罪の巨匠』などと形容される、『ハウダニット(どうやって犯罪を犯したか)』にこだわって作品を生み出し続けた偉大な作家です。

 彼の特徴はその異名の通り、『不可能犯罪』つまり理屈では絶対に起こりえない不可解な犯罪や現象を題材にすることを最も得意としており、なかでも『密室殺人』には並々ならぬ情熱を燃やしていました。彼の生み出した作品のほとんどが『密室殺人』もしくはその変化形と言われるほどです。

 また彼の面白い特徴として、作品によっての出来不出来の差が激しいという点です。本人は全ての作品に全力を注いでいるのでしょうが、結果としてミステリー史に残る傑作を数多く生み出している一方、悪い冗談としか思えない珍作、凡作も多く生み出しています。しかしその憎めないところが、時代を超えても彼が愛される理由なのかもしれません。

 以上、代表的な三人を簡単ではありますがご紹介させていただきました。気になった方は、ぜひご一読を。

 

K.K

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