推理小説考

 私は昔から推理小説が大好きです。初めて推理小説を読んだのが小学校4年生の頃。親戚からのお下がりでもらった児童本の一冊、コナン・ドイル著『シャーロック・ホームズの冒険』がそれで、この作品を読んだ時に感じた「不可解な謎とそれが論理的に解決される衝撃と快感」は今でも覚えています。

 『シャーロック・ホームズ』シリーズを読み終えてからは、モーリス・ルブラン、アガサ・クリスティー、エラリー・クイーンなど有名な作家を読破し、読む本も児童書から一般の文庫本へと変わっていきました。また作品自体も昔の名作、傑作から現在の作家の最新作を読むようになり、現在に至っています。

 しかしここ数年、過去に読んだ昔の名作をもう一度読み直すという作業をしています。子供の頃に夢中になって読んだ数々の作品を、大人になった目で読み直せば新たな発見があるのではないか、と思ったからです。そして色々と読み返して改めて思ったのは、やはり名作、傑作と呼ばれる作品はそう呼ばれるだけの根拠がある、ということでした。

まず挙げられるのは、伏線の張り方が巧みで、上手に読者の意識を真相から遠いところへ向けさせている点です。それは手品師が右手でハンカチを振って、タネを仕込んだ左手から注意をそらせるのに似ています。古典的な名作を残した著名な作家は、やはりこのあたりの手際がすばらしく上手で、あからさまに手がかりを描写しながらも読者の意識には残らないような工夫がしてあります。

そしてこれは当たり前かもしれませんが、物語自体がとても面白く読者を飽きさせない構造になっている点です。いくら奇抜で独創的なトリックを思いついても、作品を読者に最後まで読んでもらわなければ意味がありません。長編ならば4~500ページの本一冊を、スリルとサスペンスをうまく織り交ぜて読者の興味を最後まで巧みに引っ張りながら読ませる技量が作家には必要です。素晴らしい推理小説家は、推理小説以外の小説でも名作を残している例が多いのもうなずけます。

このようにいろいろと古典的名作を読んでいく中で、改めて「この作家は凄い!」と思える作家が何人か出てきますが、なかでも群を抜いているのが、国内の作家では横溝正史です。

 横溝正史――江戸川乱歩と並び日本推理小説の礎を築いた人です。名探偵・金田一耕助の生みの親と言えば分かりやすいでしょうか。乱歩が短編の名手であったのに対し、彼は長編で数々の傑作を世に残しています。『獄門島』、『八つ墓村』、『犬神家の一族』などミステリーに興味がなくても作品名を聞いたことがある人は多いと思います。彼の作品は、和風ホラーとも言えるおどろおどろしい世界観とピンと筋が通った冷徹な論理の取り合わせが絶妙で、今なおミステリーファンのバイブルとして愛され続けています。

 皆さんも、これを機会にお気に入りの推理小説を見つけてみるのもいいかもしれませんね。

 

K.K

ひまわり工房へのお問合せ

石川県小松市園町ハ36番地1

小松織物会館1F

 

ひまわり工房

 

TEL:0761-24-3313

 

月曜日~金曜日

9:00~17:15

 

お問合わせはこちらから