ビール談義

 最近、巷でビールブームが起きているとか。発泡酒や第3のビールの税金が上がり、割安感が無くなってきたため、酒造メーカー各社が改めてビールの品ぞろえを増やして個性を出そうとしたのがブームの始まりのようです。ビール好きの私としては、非常に楽しみな時代に突入した、と喜んでおります。

 なかでもメーカー各社が力を注いでいるのが、『エールビール』です。なじみのない方も多いと思いますが、それも当然で、これまで日本で造られてきたビールは『ラガービール』がその99%を占め、いわば日本人は『エールビール』というものを全く知らずに今まできたのです。

 そもそもビールとは、大きく分けて『エールビール』と『ラガービール』に分けられます。この二つは発酵させる酵母が違い、『エールビール』は上面発酵酵母を使い20℃の常温で四日ほど発酵させ、『ラガービール』は下面発酵酵母を使い5℃の低温で2週間ほど発酵させます。『ラガービール』がキンキンに冷やしてのど越しや刺激を楽しむのに対し、『エールビール』は比較的ぬるめの温度で香りやコクを楽しむ、どちらかと言えばワインに近い味わい方をするビールです。

 ではなぜ日本で『エールビール』は根付かなかったのかというと、『エールビール』は大量生産が難しいからです。『エールビール』は常温で短期間に発酵させるため品質を一定に保つのが難しく、どうしても小規模醸造になってしまうのです。一方『ラガービール』の方は、低温でじっくり発酵させるため、一旦温度を低温に保ててしまえば大量生産が可能だったのです。そのため電気冷蔵庫の普及とともに、『ラガービール』は爆発的にそのシェアを拡大し、今に至るのです。

 では『エールビール』とは具体的にどのようなビールなのでしょうか。まず一つは各メーカーが小規模醸造を逆手にとって、銘柄や種類によって味や香りの個性を非常に際立たせている点が挙げられます。『エールビール』は一般に、香りは花や果実、特にマスカットによく例えられますが、醸造所によってはホップを大量に入れて苦みを効かせたり、麦芽に小麦を使って甘味を出したり、オレンジの皮やコリアンダーなどのハーブを入れて風味を加えたり、醸造してから1年以上寝かせて深いコクを出したり、とその種類を挙げるだけもキリがありません。

 そしてもう一つ、前述しましたが、その個性を最大限楽しむために比較的ぬるめの温度で飲むという点です。通常のビールのようにキンキンに冷えた状態では、『エールビール』の命である香りが立ちません。冷蔵庫に入れてあったものは一旦取り出して常温にさらし、13℃程度にしてからグラスに注ぎます。そして一気に飲むのではなく、香りとコクを楽しむようにチビチビと飲むのが楽しむコツです。

 

 現在『エールビール』後進国だった日本に、遅まきながらビールブームが到来しています。これを良い機会に、ビールの奥深い世界に触れてみるのもいいかもしれません。

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コメント: 1
  • #1

    名無しのあん (木曜日, 04 2月 2016 17:06)

    ビール談義を読んでいたら、飲みたくなってきて、頭にビールが浮かんできました。今晩あたり、飲んでみますか?かんぱーい。

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