「どんどん減っていく古本店」

「どんどん減っていく古本店」

粋夢

 野々市の劇団へ通う途中に2件の大型古本店があるのだけれど、そのうち1店舗が完全閉店することになって、セールを展開していた。セールというとつい足が向いてしまうのが悲しい性。閉店の日が迫るごとにセールの内容も変わっていき、最初は全品20%OFFだったのが少女コミック半額になり、そのうち105円の商品が3冊で105円。

最終的には105円の本が5冊で105円にまで下がった。さすがにここまで来ると混み合い方が半端じゃないので行かなかったけれど。それでもセール期間中に20冊ほど買いだめしてしまった。最近は読むペースが半端なく遅くなっているのに、いつ読むんだろう?とほんの山を眺めながらちょっと考え込む。

 今を去ること30年ほど前には、小さな個人でやっている古本屋が軒並み並んでいた時代があった。料金も良心的で1冊50円から200円くらい。貧乏中学生のお小遣いでも十分買い物ができる範囲だった。

 確かに今の大型量販店のように本自体はきれいな状態ではなかったけれど、それさえ気にしなければ、読書欲を十分に満たすことができた。何より乱雑に並んでいる本棚の中から面白そうな本を探す作業というのは、宝探しと同じだ。それだけでもワクワクしながら店の隅々まであさりまくる。見つからなければ、「古本屋のはしご」なんてことまでやっていた。

 しかも何回も通っているうちに常連になってしまうと、おまけと言って値引きしてくれたり、やむなく本を売りに行ったりした時もわりと市価よりも高値で引き取ってくれた。そして何より、店番のおじちゃん・おばちゃんと仲良くなって色んな情報が入ってくる。

「この作者の作品は作者がこのあいだ亡くなったから高値になってきてるよ」とか、「この作者の本は今、入荷が多いから値崩れしてるから買いだよ」とかね。

それも大型量販店が進出してくるまでの話。時代とともにそういった個人でやっている古本屋は壊滅的と言っていいほどなくなってしまった。

 そして今、インターネットカフェの進出によって本や漫画は買うのではなくて借りて読むものになりつつある。その流れで古本の大型量販店さえもがその店舗数を縮小せざるえない状況なのだろうと思う。遅読の僕は時間制限で読みに行くのは本当に辛いのと、タバコが吸えない(自業自得)のとで、どうもインターネットカフェには入る気にはなれない。

 何よりお気に入りの本を手元に置いておけない悲しさというのもあるかもしれない。読み返したくなったら、すぐに手を伸ばせば読み返せる手軽さは、やはり本を買わなければ味わえない楽しみだ。

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コメント: 1
  • #1

    hana (木曜日, 30 1月 2014 12:56)

    今の時代、「バイブル」とか古いんですかね…
    時間をかけて、同じページを何回も何回も読んだりしたものです。風景描写なんて、町並みが頭に浮かぶほどじっくりと想像しながら読んだり。
    同じ文章でも、自分の心の状態などで、受け取り方も変わったりして、アタシはゆっくり読むの凄くすきです。

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