最近読んだ本・春へつづく(加藤千恵)

この作品は、8つの短編からなっている。主人公は中学生だったり、コンビニで働くパートのおばさんだったり、中学校の図書館司書だったりで、多岐にわたる。もちろん、内容は異なっているのだが、ひとつだけ共通項がある。それは、「卒業式の朝、使用されていない空教室の中で願い事をすると、不思議と願いがかなう」という噂があること。登場人物の中にはそれを本気でそれを信じているものはいない。クールで現実味のあることを最優先するというような登場人物ばかりだ。ただ、読み進めていくと、願い事が叶う事より、願い事があることの方が、よっぽど大切なことのように思えてくる。だって、「卒業式の朝に願うなら、なににする?」なんて問われたとしても、すっとは出てこない。せいぜいが「毎日にこやかに過ごしたい」くらいのもので、「○○と付き合いたい」とか、「東京で一人暮らしをしたい」みたいなことを願い、ひそかにあたためる人たちにうらやましさすら覚える。

 自分が願い事をするとしたら、前述したように、「毎日にこやかにすごせますように」と願うだろう。精神疾患というまったくもって面倒な病気はほかにない。朝元気なのに昼ごろには「死んだら楽かな」なんて唐突に、本気で死のうと思っていないけど考えてしまう。明日にはまた幻聴が聞こえてきてヒトが怖いと思い始めるのでは、などと、すごく不安になったまま眠りにつくこともままある。そんな面倒でやっかいでどうしようもない疾病を抱えているからこそ、「にこやかに」なんて思ってしまう。毎日楽しく、笑い合って仕事ができたら、どんなにいいだろう。自分は10日ほど休んでしまったが、それも「重度に憂鬱」だったから。あえて細かくは書かないが、「なんで生きてんのかなぁ」などと考えて過ごしていた。まだ完治も「かんかい」もしていないが、にこやかに過ごせますように。

 

ゆうき

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